「巡る世界」




風の吹く草原に、少女が一人。
仲間たちからふと離れて佇んでいた。
見上げれば、今出てきたばかりのダーマ神殿が壮麗に聳えている。
仲間たちは先ほど転職してきた賢者の装備を、ああだこうだと言いながら取っ替え引っ替えしているのである。


・・・かつてはアリアハンの勇者オルテガの息子じゃったか娘じゃったかと言われたこともあったし、あの美しい世界と、そして闇に閉ざされたアレフガルドの地を救ったこともあったこのあたしが、

守護天使と呼ばれたり、地上に落っこちて人間になってみたり、色々あったけど・・・


少女は腰に佩いた剣をすらりと抜いた。
たった今油を引いたかのように艶やかに光る白銀色の刀身。
黄金色の鍔には青い宝玉が飾られ、優美な鳥をイメージした意匠が印象的で美しい。
鳥・・・すなわち、不死鳥ラーミア。
そして剣の銘は「ロトの剣」。

「色々あったけど、この剣が、またあたしの手の中にある・・・」

剣をかざした空は青く澄んで、不死鳥の背に乗って飛んだあの空と何も変わりはない。

「空はどこでも空だし、ずっと飛んでいけばたぶん世界は繋がってるし、あたしはどこにいたって・・」


「・・・────・・!」
「ごめーん、待たせちゃったー?」
「ほらほら、見てやってよこのコーディネート!!」

仲間の呼ぶ声に少女は振り返った。
かつての「定番」だった賢者に、ここでも念願叶って転職した少年が、仲間に押し出されて笑っている。

ずっと変わらないのは、自分が自分であるということ、そして、大切な仲間たち。
終わらない冒険はまるで夢の続きみたいに儚く、時には悪夢のようにも思えることもあるけど、それでも渡っていけるのは彼らのおかげ。

世界が平和でありますように
みんなが幸せでありますように

────それは、いつ、どこにいても変わらない、あたしの願い。






《END》 ...2009/08/23  UP ... 2009/11/03




 


うちのDQ9の四人は、DQ3の子たちの名前と設定と職業をそのまま使ったので
それ前提の9の話。あと、8でレティス=ラーミアに感銘を受けたのもちょっと入ってる。





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