・R-18
好きだと告げる。
抱き付いてキスをする。
答えはなく反応もないから、たぶん好きでも嫌いでもないのだろう。
それでも恋慕の情を抑え切れず、繋がりたくてたまらなくて、押し倒して跨って彼のものを咥え込む。
拒絶はされないし彼も快感を得てはいるようだったが、どれも一方的な行為でしかない。それでも──── ……それでも。
「………ん……」
丁寧に擦って舐め上げて十分に硬さを帯びたそれを、自ら解した自分のそこに挿入していく。
「は、あぁ…っ……」
「……っ……」
ゆっくりと、深く沈めていくと、無表情のままだったヘブンズ・ストリングスの眉が僅かに顰められ、息が乱れる。
何も感じていないわけではないのだ。
「……ご、めん、なさい……」
そんな様子が何故か居た堪れなくて謝ってしまうのもいつものこと。
謝りながらも、受け入れたそれをもっと感じたくて、自分から腰を使い動き始める。
「んっ……、あ…、はぁ……っ……!」
はしたない声を上げ一人で喘ぐ自分を、この人は見ているのだろうか? それを確かめる余裕さえなく、ただ繋がった箇所から全身に拡がる熱と快感を貪ることしかできない。
……時折バランスを崩して滑り落ちそうになる身体を支えてくれる手は気のせいに違いない。
────私のことは、何とも、思っていないのだから ─── ……
「や、あ、あぁ…ん……っ……、」
夢中で動いているうちに、ふと髪に違和感を覚えた。
「あ……っう……」
それだけはしないようにと気を遣っていたつもりだったのに、ヘブンズ・ストリングスの左肘の関節に長い髪が挟まっていた。
「あぁ……、っ……」
外そうとして手を伸ばす。身体の角度が変わると中で当たる箇所も変わる。
「や、ぁ……っ!」
びくんと身体が跳ねると、髪が引かれてますます深く絡め取られた。
「いたっ……あ、ぁ……っ…」
なんとか届いても思う通りに手が動かない。
もどかしく震える指を空回りさせていると、両側から上げられたヘブンズ・ストリングスの手がそっと肩を押さえて動きを止めた。
「────!?」
「動かないで、少しだけ、そのままで……」
細い指先がそっと髪を掬い、肘の関節を微妙に動かしながら絡まったそれを解いていく。
最後の一房がするりとほどけると、引かれる力と痛みから解放され急に頭が軽くなった。
「…あ…………、」
「髪は、切れていませんか? ああ…大丈夫ですね」
「────っ………」
解放された───? でも、離れてしまった──── …… それから、情事の最中に初めてこの人が動いたことも────
──── ああ…… 私を、見てくれている………
「……っ…………」
繋がる熱とは違う熱い固まりが胸から喉へせり上がる。
何故か涙が零れ、息が詰まった。
「……泣くほど痛かったなんて……ごめんなさい……」
髪を解いた手がそのまま腕へ、肩へ、頬へ伸ばされ、長く伸びた前髪を掬った。
「…あなたは本当に、可愛い人ですね………」
硬質な唇がはっきりと、笑みの形に持ち上がった。
(了)
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2014/06/28
マグロ紳士ストさんと片思いだって思い込んで一人で頑張るマッハさんをですね……いや、マグロなわけじゃなくてそんなマッハさんを見てるのが楽しいからっていう理由だと可愛いですよねフフゥ〜!あとストさんのドール的関節に髪が挟まってイテッってなるのを書きたかったのでまんぞく…
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