春色ペガサス
・ED後
・ドルベとマッハどっかのアパートで二人暮らし
・ナンバーズはそのまましれっと存在してる

 

 

 ふう、と溜息が聞こえた。
 本を読んでいたドルベが顔を上げると、マッハは洗濯物を畳んでいた手を止めて窓の外を見ている。溜息は無意識なのだろう。
 近頃何故かぼんやりしたり、溜息をつくことが多くなった。
「………何か、あったのか……?」
 今はドルベも学校へ通う身、四六時中マッハと一緒にいるわけではない。まさか自分が留守の間に何か───?
「いえ、そういうわけではないのです。ただ……」
「ただ?」
「先日、主とタッグデュエルをした、あの人のナンバーズ……」
「ああ……確か、ナンバーズ40────」


 それは自然に始まった他愛のないデュエルだった。
 アークライト邸の図書室には珍しい本がたくさんあるとナッシュに聞かされ、好奇心の赴くまま押しかけて週に一度ほど図書室通いをしていたドルベだったが、アークライト兄弟やドルベにナッシュ、時にはメラグも加われば、いつの間にかデュエリストたちのお楽しみが始まるのは当然だった。
 ほんの少しなら卓上デュエルで、盛り上がればアークライト邸の広い庭に出ての本格的なデュエルになる。
 召喚できるナンバーズは1枚まで、RUM禁止、カオスドロー禁止、命は賭けない、世界の命運は賭けない、などなどローカルルールを決め、対戦相手を変えて何度でも。
 そのうちに興が乗って、タッグデュエルをしてみようと誰かが言い出した。アミダで決まった組み合わせは、ナッシュとV、ドルベとWだった。
「お前とタッグとはな……」「ふふ、面白い組み合わせになりましたね!」
「おいメガネ、足引っ張るなよ!」「無論だ。私も『ふぁんさーびす』とやらをさせてもらおうか」
 大量の本を借りるドルベの荷物持ちとして付いてきていたマッハはカードの姿に戻り、ドルベのエクストラデッキに入る。
 現世ではデュエルモンスターとして主と共に戦うのだ。
「「────デュエル!!」」



「あの時、破壊されそうになった私を庇ってくださったあの方……」

 ドルベの戦略及ばずスカイ・ペガサスが攻撃力を上回るダメージを受けそうになったその時、Wの発動させた罠カードで墓地から蘇り、鮮やかに反撃を繰り出したモンスター。

「────ナンバーズ40、ギミックパペット・ヘブンズ・ストリングス……」
 うっとりと、その名をマッハが呟く。
「あれは見事な戦術だったな。さすが極東ファンサービス」
「あの翼……」
「攻撃力も高いが、ギミックパペットモンスターとの連携も見事で……」
「どこからともなく流れる弦楽オーケストラのBGM……」
「………は?」
 デュエルを思い返していたドルベだったが、何かがおかしい。
「本当に素敵な方でした……」
 ARビジョンだから効果音くらいは付くが、TVアニメではあるまいしBGMなんて流れているわけがない。それともナンバーズの精霊には特別に何かが聴こえているのだろうか。
「もしまた一緒にデュエルをすることがあったら、私はあの方に装備されてみたいです……」
「おいおい」
 ふう、と切なげな溜息をつくマッハに、さすがのドルベもツッコミを入れざるを得ない。確かにスカイ・ペガサスには装備効果もあるが、そういうことではない。近頃ぼんやりしていたのも溜息をついていたのも、全てこのせいだったのか。
 これではまるで、

────恋、だと……!?

 そんなバカな、と言いかけたが、ありえない話ではない。カードの精霊とはいえドルベの元愛馬は、今は人の姿を取り人の言葉を話し、ドルベと一緒に人と同じ生活をしている。
 現世でも主に忠実なのは変わらないが、誰かに心寄せたり恋をしたりすることだってあるだろう。

────しかしまさか、ナンバーズのカードにとは……

 カードはカード同士ということなのか。
 それに44と40で数字も近いし、もしやこれはお似合いというやつなのか。
 現世ではデュエルで結婚相手を探す者もいるというし、これはこれで、ありなのかもしれない。

「こ〜い〜しちゃったんだ〜たぶん〜〜♪」
 マッハが洗濯物畳みを再開した。
 主に色々白状してスッキリしたのか、鼻歌まで歌っている。
「きづいてな〜いでしょ〜〜♪」

「……………………………」
 タッグができるかどうかはわからないが、アークライト邸に行く時は連れて行くことにしよう。
 ドルベはふと窓の外を見た。
 どこかでまだ咲いているらしい遅咲きの桜の花びらが、ひらり、ひらりと風に舞う。
 春なのだった。




(了)

 

 

 

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2014/05/22
アニメ版のスカイ・ペガサスにはナンバーズへの装備効果があってとても強い。OCGでなくなっちゃったのがもったいない〜。ビジュアル的に乗っただけ装備になりそうな気はするけど。

 

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