※ルシフェル戦より前の主リゼいちゃいちゃ
※主人公=「ルカ」
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今夜もまた少し冷える。
安宿の寝床の薄い上掛けが物足りなくて、ルカがなかなか寝つけないでいると背後で物音がした。薄目を開けても見えるのは壁の板だけ。なるべく見ないようにと、だいたいいつも「それ」に背を向けて寝ているのだ。
きし、と床板が鳴る。息を殺し、足音を潜ませてルカに近付いてきた。
「…………………」
上掛けに手が掛けられ、ぎし、とベッドが音をたてた。
「─────ッ!」
がば!とルカは布団をはねのけて起き上がる。
「あれ、起きてたの」
全く悪びれた様子もなくルカのベッドに侵入しようとするリゼルがそこにいた。
「リゼル……また?」
「だって、今日も寒いし……」
レガイアを旅し、移動魔法も使えば気候や気温はいつも変わる。久しぶりに訪れたレムールあたりはレガイアでも涼しい地方だ。ルカだって寒くないわけではないが……3日に1度くらいの頻度で同衾を迫られるのは勘弁してほしい。
「と、とにかく、今日はダメ!」
「何でさ? ルカだって寒いんじゃないの?」
言いながらリゼルはベッドに乗ってくる。ご丁寧にも自分のところから同じく薄い掛け布団を持ち込んでいて、ルカのそれにばさっと重ねて敷いた。
「ほーら、二人分だとあったかいよー」
ルカの制止も聞かずにリゼルは側へ寄ってくる。髪からふわりと石鹸の香りが届き、ルカは身体の芯が熱くなるのを感じた。このままではまずい。
「リゼル…ダメだって、本当に……!」
ルカは自分の布団を引き寄せながら、なるべくリゼルから離れようとする。必死で拒否しようとしているのに、リゼルは構わずにじり寄って来てルカを見上げ、小首を傾げてにこりと笑った。
「……知ってるよ」
「な、何を……」
意味深な言葉に心臓が喉から飛び出しそうになったのを抑えながらルカが訊くと、リゼルはふふ、と笑ってまるで猫のようにルカの喉元に顔を寄せてきた。咄嗟のことにルカが硬直すると、隙を衝いてリゼルの右手が下肢に伸ばされた。
「ちょ……!!」
さわりと撫でられた程度だが、布越しでもルカのそれが固くなっているのがわかっただろう。触れられたことでさらに熱が集まる。ルカは思わず手を振り払った。
「あ…ご、ごめん……! これは、その……!」
「…だから、知ってるよって」
言い訳のしようもなく狼狽えるルカに、リゼルはこともなげに言う。
「僕の方こそごめんね、ルカ。試したりして……」
「試す?」
「うん。最初にルカのベッドにもぐり込んだ時、あれ、って思ったんだけど、確信が持てなくて……だから寒いって言って何度も」
「……だったら、もう、……」
知ってる、ということだろう。ルカのこの反応、リゼルをそういう対象として見ていることを。
「…ごめん、リゼル、ごめん……」
こんな気持ちを抱いているなんて、知られたくなかった。呆れたか、軽蔑するか、嫌悪するか……
「ルカ」
消え入りたいような思いで謝ることしかできないルカを、リゼルがじっと見詰めてきた。
「ねえ、僕も同じ。ルカのこと、……」
好き、と、聞こえたような気がした。
「リ、リゼル……?」
さっきとは別の意味で、心臓が喉から飛び出しそうになったルカに、リゼルはとびきりの笑顔を見せた。
どうしよう嬉しい。でも……リゼルがこんなにいい笑顔をするってことは……
「だからさ、ルカ、してみよーか!」
素敵に笑いながら、大変なことを言い出した。
「するって何を、とか言わないでよね? どうせルカだって、このまま我慢してすんなり寝られるわけじゃないだろ」
「まあ、そうなんだけど……」
とんでもない展開になってきた。同性だから身体のことは見抜かれているし、言い出したら聞かないのがリゼルだ。
「その……、知識としては知ってるけど、実際するのは初めてだからね…?」
どんなことになっても知らないぞと釘を刺すが、やっぱり抑止の効果は全然ない。
「うん。それは僕も同じ。大丈夫だよ、とりあえず二人とも気持ち良くなればいいってことで」
どこまで実践する気なのか……なんだかすごく軽い。もうアレだ、据え膳ってやつだ、とルカは覚悟を決めた。と同時に、可笑しさもこみ上げてきた。
「ルカ……?」
「もう、リゼルは……今まで必死で抑えてきたのがバカみたいじゃないか」
「僕だって、ルカはとっくに僕の気持ち知ってると思ってた。魔獣の気持ちはあんなによくわかるくせに」
リゼルも笑いながら、顔を寄せてきた。唇が触れ合う。最初は軽く……次第に……
「ん……」
思っていたとおり、リゼルの唇は柔らかかった。同じ男とはとても思えない……というか、幼い顔立ちや細い身体と相まって少女のようにも見える。これで今年18になるのだと言うから驚きだ。大神官の息子だったり動物と話ができたりするリゼルはやはり普通の人間とどこか違うのかも知れない。などと言ったら、普通と違うのはルカの方だろ!と反論されるのだろう。
…ペドフィリアはもう少し小さい子が対象なんだろうけど……
ルカにとってはこれでも十分(見た目だけは)小さい子だ。だからこそ余計に、そんな思いを抱くだけで躊躇いや罪悪感を感じてしまっていたのだろう。
「ルカ……ルカ」
リゼルがルカの名を呼び、もっとキスをとねだる。求められるままにキスを繰り返すと、いつの間にかリゼルの身体も熱くなっているのに気付いた。
「リゼル……」
「ルカ…僕も、なんか……」
身を屈めて首筋にもキスを。そのまま、夜着の前を寛げながら鎖骨から胸へと降りていく。胸の突起を口に含むと、微かに嬌声が漏れた。
「や…っん……」
白い膚は掌に吸い付くような滑らかさで、胸から腰へと撫で下ろすと細い身体がびくりと跳ねたが、出しかけた声をリゼルは飲み込んだ。
「ん……っく…」
「リゼル、声…そうか」
始める時は考えてもみなかったが、これ以上声が大きくなるとまずい。なにしろ安宿、壁の板も相当安そうなのである。
「んー、ちょっと…待って……」
ルカの腕をするりと抜けて、リゼルは自分の荷物と一緒に置いてある愛用の杖を取りに行った。部屋の真ん中まで戻ると、杖を構え、なにやら呪文を唱え始めた。仕上げにトンと一つ床を突くと、辺りの空気が何か変わったのがルカにもわかった。
「音っていうのは空気の振動だから、それを相殺して遮断する層をこの部屋の境界に───」
要するに、外に音が漏れないようにしたのだと言う。大神殿で音響調整に使う魔法の応用らしい。
「これなら何しても絶対大丈夫だよ!」
「何しても……ね」
ベッドに戻ったリゼルは笑いながらルカの首に抱き付いてきた。
薄い夜着を通して伝わる少し高めの体温が心地良くて、しばしそれを味わっていると、動かないルカにじゃれつくように、リゼルが耳たぶを甘噛みしてきた。
「リゼル……くすぐったい」
「いいから我慢する!」
リゼルの吐息は耳元から首筋、鎖骨へと降りてくる。いつの間にかボタンも外されていて、リゼルの手が愛おしげにルカの素肌を撫でたかと思うとするりと上着が肩から落とされ、鎖骨の端にキスをされた。
「いいな……ルカ」
「何が…?」
「筋肉。ルカ、大きい剣使うし、鎧だって重いし……」
溜息混じりに呟くので何かと聞いたらリゼルは即答し、ルカの胸筋を、そして肩から上腕、前腕へと正確に筋をなぞっていく。その手つきやうっとりしながらも観察を忘れないどこか冷静な目はなんだか魔獣を見ている時と同じに見える。
「リゼル、もう、僕のことなんていいから……」
ルカはリゼルの腕を取って引き寄せた。このままでは自分が押し倒されかねない雰囲気だ。それに自分もリゼルに触れたかった。肌と髪と、それに、さっき少しだけ聞いた声───。
「あ……っ…」
ルカがそこに触れると、戸惑ったような声を上げた。さっきまであんなに強気だったのが嘘のようだ。腰紐を緩めて中に手を入れ直接触れると、自分のと同じような固さと熱を感じる。
「…やっ……ぁあ…」
やはり自分のモノより小さ目だったそれを擦り上げると、さらに嬌声が上がった。もっと……もっとその声を聞きたい。
下履きを足元までずり下げ、ルカはリゼルのそれを直接口に含んだ。
「んっ………あぁ……んぅ……っく……」
丁寧に舐め上げ、舌先で先端を刺激すると、やがて熱い液体が溢れ、身体をびくりと震わせて
リゼルは果てた。
ぐったりと力を失った身体から離れると、目の端に溜まった涙を払いながらリゼルは起き上った。
「ん……あ…、ルカ……」
余韻で薄紅色に染まる頬、ルカを見上げる潤んだ眼は初めて見る艶っぽさでルカを魅了した。目が合うと何となく気まずそうに、恥ずかしげに眼を伏せる様子も可愛らしい。
「ルカ……そんなに見ないでよ」
決まり悪げに脚を閉じて前を隠そうとするが、文句や抗議はないようなのでルカの行為はなかなか悪くはなかったようだ。
よかった、と内心胸を撫で下ろしていると、リゼルの手がルカの腕を掴んで引き寄せた。
「わ……!」
反対の手は器用に片手だけでルカの腰帯を解き、思わず離れようとするルカのそれに直接触れてきた。
「リゼル…!」
「動かないで。今度は僕がする番」
「で、でも……!」
「僕だけ良くなってちゃ不公平だし」
言いながらリゼルは、もう最初からずっと固くなりっぱなしのルカのそれをそっと扱き始めた。それは先ほどのルカの筋肉をなぞる動きにも似て正確で、剣を握らない繊細で柔らかい指はルカを確実に追い上らせていった。
「……ぁ……っん………」
出しかけた声を思わずルカが飲み込むと、どうして?とリゼルが見上げてきた。さっきのリゼルの声はとても可愛かったけれど、正直自分のもそうだとはとても思えない。リゼルが仕方ないな、と溜息をついたので、ルカに声を出させるのを諦めたかと思ったら、やはりさっきルカがしたように、身を屈めてその口内に直接咥え込んだ。
温かく湿った口腔が柔らかくルカ自身を包み込む。
「ぁあ………!」
たまらずにルカは声を上げた。上がる息を抑えようと俯くと、まともにその光景が目に入ってくる。滑らかな舌が裏筋を舐め上げ、桜色の唇が先端を啄ばむようにキスをし、吸い上げる。
「リ、リゼル……もう…ダメ………っ…」
ちゅう、とひときわ強く吸われ、頂点に達したルカは熱を放出した。
いけない、と思って身を引こうとした時には遅かった。だが、リゼルは果敢にも口で受け止めて飲み込もうとしていた。
「ん……っく…けほっ……」
一息に飲み込めなかったらしく咳込んでいる。
「リゼル……! 大丈夫? ごめん……」
なんとか咳を止めたリゼルを上向かせ、涙と口の端に残る白い液を拭き取る。
「うん、平気……。ねえ、どうだった?」
「え、……うん、良かった……すごく」
なかなか言いにくいことを訊いてくるが、ルカがそう答えると、リゼルは満足気に笑った。
若干子供っぽいそんな仕草とは裏腹に、まだ肩に羽織ったまま前だけ肌蹴た夜着とそこから覗く白い肌は幼い(ように見える)リゼルに不釣り合いなほど扇情的で、一息ついたはずのルカの熱はまだ治まらない。
目の前の細い肩を抱き寄せると、腕の中にすっぽりと納まった。
「リゼル……続き、いい……?」
「…………………………」
息を飲むような気配とやや躊躇うような間があったが、リゼルはルカの腕の中で小さく頷いた。
「いいよ、ルカ……抱いて……」
「リゼル……………」
腕の中からルカを見上げ、リゼルはにこりと笑った。
「いいけど、ちゃんとしてくれなかったら、僕がルカを抱くからね!」
「うわー、そーやってプレッシャーかけるんだ……」
軽いやり取りにリゼルは笑っているが、半分本気かもしれない。
「僕だって男だし、一応ルカより年上なんだからね?」
「それはわかってるけど」
リゼルはたまに思い出したように年上主張をする。どうしても13、4くらいにしか見えない自分の外見を、単なる個人差と片付けてしまうのが不安なのかも知れない。ルカ自身も、何かあると薄々感じていた。……それはまだ直感のようなものに過ぎなかったけれど。
未発達な身体に、不釣り合いなほどの知識と魔力。幼い顔立ちの下に時折見える魔性の誘惑にも似た艶っぽさ。
……っていうのは、惚れちゃった僕の贔屓目かも知れないけど。
そんなことを思いながら、背に回した手を下へと滑らせた。ぴくりと反った背を降り、双丘を探る。谷間の入口を撫でると、抑えたような溜息がルカの胸をくすぐった。
もっと奥へ……でもその前に、と、ルカはすぐそばの床に置いた荷物を開けた。少し身体を離してリゼルも覗き込む。
探り当てたのはガラスの小瓶────「ニンフの恵み」という名の保湿クリームだ。
「それ……使うの?」
「うん」
少ない知識を総動員し、潤滑剤に使うにはこれがいいだろうという結論に達したのである。
蓋を開け傾けると、とろみのついた乳白色の液体がゆるゆると流れ落ちる。それを掌に受ける様子を、リゼルがじっと見つめていた。瓶の蓋を閉めてリゼルに向き直ると、どうしたらいい?と仕草で尋ねられた。
「うーん、とりあえずうつぶせ……?」
どうしたものか、自信がないのがありありだったが、リゼルは大人しく言う通りにしてくれた。枕を抱えて顎を乗せ、膝をついて、若干腰を上げた格好………
「これ…ちょっと、恥ずかしいんだけど……」
だが初心者には有難い。ルカは掌の液体を一掬い人差し指で掬い取り、そこに宛がった。
「ん………」
冷たい、と声が上がったが、すぐに体温で融けてゆるくなる。幾度か入口を指でなぞり、十分に絡ませてから、そっと差し入れてみた。
「────っ……」
予想以上の抵抗感で、第一関節までしか入らない。
「……こういうもの………なの?」
「ルカ……ダメだよ、もっと……入れないと」
「う、うん……」
リゼルが大丈夫そうなので、ルカはさらにたっぷりと液を纏わせて、もう一度、ゆっくりと指を差し入れていった。
「ん……あ、あ…っ………」
内壁を探るように動かすと、快楽とも苦痛ともとれるような声が上がる。ここでちゃんと慣らさないと、後で二人とも辛い……らしい。躊躇いながらも指を増やし、少しずつ拡げていく。
「や……はぁ…ん……っく………」
せっかく防音魔法までかけたのに、声を抑えてしまっているようだ。始める時はあんなにやる気だったというのに、やはり初めての、他人から与えられる刺激に戸惑っているのだろう。
「リゼル……声、聞かせて……」
少し動きを止めて耳許で囁くと、抱えた枕から顔を上げ、肩越しにルカを振り向いた。
「…ルカ……だって……なんか、………」
恥ずかしい、と涙目で呟く羞恥に染まる表情と幼さの残る肢体は、たまらない破壊力でルカの理性に訴えかけてくる。
もう…限界、かも……
「……リゼル」
もう大丈夫だろうと自分に言い聞かせ、挿れていた指を引き抜く。
「んっ……」
そんな刺激にも敏感に反応が返ってくる。
もうダメだ。
リゼル、
リゼルの、中に。
「あ………、なに……?」
俯せていたリゼルを促して仰向けになってもらい、抱えていた枕を腰の下に宛がった。軽く開いた両足の間に膝立ちになると、初めてリゼルの全てが見えた。
白いシーツに散らばる銀青色の髪。
ルカに正面から見られて羞恥に染まる頬と伏せられた目。
陽に当たらない肌は白く、普段はローブに隠されてわからない身体の線は中性的な滑らかさで腰から脚へと続いている。
さっきまで枕を抱えていた手は所在なさげに彷徨い、ルカに向かって差し伸べられた。誘われるように身を屈めると、白い腕はするりと絡み付きルカを引き寄せた。
「ルカ………」
ルカを見上げる眼は深い青───エイボン曰く「懐かしきレガイアの青」だそうだ。空のもっと上、「宇宙」から見るレガイアは、黒いビロードの上に一つだけ光を放つ宝石のように美しいのだと、自称・ただの気楽な観光客エイボンは愛おしげに語っていた。
その光景を見たことがないはずのルカも何故かリゼルの瞳の青を「懐かしい」と思うのは、何かの予感なのだろうか………。
「リゼル、いくよ……」
掌に残っていたクリームを全部自身に絡ませ、先端をリゼルのそこに宛がう。
「う、ん………」
まずは先端、そして、ゆっくりと身を進めていく……
「や……あっ…あぁ………!」
驚くほどするりと入っていく。きついのは入口だけで、中は熱く、柔らかくルカを包み込む。
「んっ……あ…はぁ……」
「……ごめん、リゼル……痛い……?」
「ん…だ、いじょうぶ……。痛い、けど…なんか……」
苦痛だけではないようで、堪えながらもルカのために力を抜こうとしてくれているようだった。
「……いいよ、ルカ…動、かして……」
途切れがちに呟くリゼルのそこは、ひくひくと不規則に動きルカの根本を締め付けてくる。ルカとしてももう限界だった。
「リ、ゼル……」
挿れられている方はそれだけではイけない…らしいので、再び固くなっていたリゼルの自身にも手を添えた。
そっと抜き、また深く差し入れる。
繰り返し、次第に早く……
「や……っあぁ……! …ん……ああ…あ……ルカっ………」
喘ぐ息とともに名を呼ばれ、段々と抑えがきかなくなる。
「リゼル……リゼル!」
「あっ…ああ……やああ……っ…!」
リゼルがひときわ高い声を上げるのと同時に達しそうになり、ルカはとっさに自身を引き抜いた。
「やぁ…っ……あぁん……!」
その刺激で先にリゼルが達し、続いてルカも熱を放出した。
「…あ、あ……、リゼル…………!」
*********
ふと目が覚めた……辺りはまだ暗い。
隣でリゼルがルカの肩に頭をもたせかけ、腕を抱え込んで眠っていた。少し高めの体温が心地良い……。
こんな風に一緒に眠るのは初めてではなかったけれど、この前まではそれと知られないように自分を抑えるのに必死で眠るどころではなかったから。
リゼルの寝息は規則正しく安らかで、ルカもまた眠りに誘われていった。
…誰かと繋がることが、こんなにも満たされるものだったなんて……
僕の友達は猫だけだったとリゼルは時折冗談めかして言うが、ルカだって似たようなものだった。
養い親は優しく、時には厳しく、本当の両親以上の愛情を注いでくれたし、村の人たちも他の子供と変わらない扱いをしてくれた。それなのに、いつもどこか借り物のような、ふわふわ浮いているような違和感がつきまとう。
そんなルカの不安定だった心にぴったり寄り添ってくれたのがアリスとリゼルだった。二人に出会って、やっと自分が自分だという自覚を掴むことができたような気がする……。
最初の仲間がアリスでよかった。リゼルのことを好きになってよかった。
地に足が付く。満たされて、幸せで、愛おしいこの気持ち。
他に欲しい物はない。
ならば後は、自分に課せられた何か………、役目のような何か。
ルカには予感がしていた───いつか離れることになっても、レガイアの青、リゼルの瞳の青とこの瞬間の温もりを愛おしく思い続けるのだろうと。
《END》 ...2009/11月くらい ... Rewrite&UP 2025/01/26
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