目覚めよ


      百年の眠り


滅びてよりまた幾度も再生する力


                   紡がれる歴史……幾度となく滅び


         目覚めることにより紡がれる………………この星と宇宙の……








「暁星」








……ゆっくりと、眠りから引き上げられる。

器は疾うに再生されている。

「目覚めよ」

王たる者の目覚めを嗅ぎ取り、先立って目覚めた者達の気配がする。
覚醒する前に、彼らに、指示を……

「……目覚めよ…」

柔らかな声。

……そうして目覚めてまた待つのだ……挑んでくる人間共を。
互いに死闘し、どちらかが滅びる………   滅びるのは、いつも……


「……目覚めよ……、    未だ自我に目覚めぬ者よ………」



黒髪がヴェールのように辺りを覆い、馥郁たる香りを撒き散らす。

「魔王ルシフェル……目覚めなさい……あなたは未だ、彼の者の創りし揺籃の中……」



………ワ  タシ  ハ …………



「知性ある者よ…目覚めなさい……

          あなたも、持つことができるはず……


何故ここにいるのか……何の為にいるのか……自分は何者なのか……

思うこと、考えること、生きること………即ち、「自我」を………………!」








永遠に闇に閉ざされるはずの万魔殿の最奥に光が差した。

 








《END》 ...2008/10/04




 


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