・クビア×カイト(無印)
・微?エロ
「カイト」
「───クビア」
その名を呼べば応えてくれる。
いつだって僕のそばにいてくれる。
ログアウトしている時も心はここにあると信じることができる。
甘えるように抱きつけば背を抱き返してくれる。
触れるだけのキスをしたら、どうしたの?という風に青い瞳が見返してきた。
「カイト…好き」
「僕もだよ」
にこりと笑って、僕の全てを受け止めてくれる。
言葉も、心も…身体も、全部。
二人で柔らかい草の上に倒れ込むと、カイトの帽子が外れて転がり、
伸ばされた手がもどかしげに僕のマフラーを解いた。
同型のPCボディのはずだけど少しずつ違う。
カイトの細い首筋。耳の後ろ。
「ん…っ…」
僕は鎖骨、それから手首。
「や…っん……」
お互いのそこに触れるたびに熱が灯る。
「クビア…クビア…っ…」
僕の名を呟く声が上ずる。
僕の息も上がって、抑えきれない熱がカイトを求めている。
「カイト…!」
「…っ…クビア……」
触れる肌の滑らかな感触、抱き締め合う体温、首筋から立ち上る匂い、繋がる痛みと快感…
全部カイトが教えてくれたこと。カイトが分けてくれた物理的な「感覚」。
でもそれだけじゃない。カイトが僕に与えてくれたものは
求めてそれが叶えられる充足感。
満たされる「こころ」…、それだけで僕はもう。
「クビア…泣いてる、の……?」
繋がったまま動きを止めた僕を、カイトが心配そうに見上げる。
「ん……カイ、ト……」
生理的な涙じゃないのに泣けてしまうなんて。
「そういう、ことも……あるよ…」
手を伸ばして僕の髪をふわふわと撫でるカイトの目はどこまでも優しくて、
僕は、幸せすぎて苦しくなるくらいに、
「…好き…カイト、好き……」
「僕も、クビア……好きだよ…」
カイトが僕を引き寄せて抱き締めて、もっと深いところまで来て欲しいと促す。
誘われるまま僕は二人で昇り詰めようとカイトの奥まで身を進めた。
「あ、あぁ……っ…」
「…っ…カイ、ト…っ…!」
繋がる身体と心…何も知らなかった、何も持っていなかった僕を満たしてくれる。
欲しかったものを何もかもカイトに与えてもらっていっぱいに満たされた僕は、
これからどうすればいいんだろう?
もう消えてしまってもいいとさえ思うことだってあるのに。
「はぁっ……あ……カイト…」
「…クビア…、ここに……」
うわごとのようにカイトが呟く。
「ここに、いて……クビア……っ…」
「…う、ん…っ、カイト……」
君が望んでくれるなら────…
*****
草原フィールドを渡る風が僕の髪を揺らして通り過ぎていく。
僕の膝枕で仰向けに寝転がっているカイトは目を閉じて微かに息をついている。
起きてるのかな…。
人差し指でそっと頬をつつくとぱちりと目を開いた。
「起きてるよ…、…」
晴れた空が眩しいのか、目を細めてころりと横に寝返りを打った。
髪の隙間から覗いた耳を摘んでちょっとだけ引っ張ってみる。
普段帽子を被っているから、これを見られるのはたぶん僕だけ。
「…ねえカイト、…さっき……」
ここにいて、って言ったよね…?
そう訊いてみたかったけど、あの時もう半分意識が飛んでたはずだから、覚えていないかも知れない。
「『さっき』……何?」
「ううん、何でもない」
カイトの髪をくしゃくしゃと掻き回すと、やめてよー、と横になったままでくすぐったそうに笑う。
さっきの言葉…カイトは覚えていないかも知れないけど。
確かにそう言ったはずだから、僕はここにいることができる。
寝オチしても待っていることができる。
ログアウトしている時も心はここにあると信じることができる。
カイトがいっぱいに満たしてくれた「こころ」を抱いて、僕はここにいる。
《END》 ...2012/02/26
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クビカイブームが来たんですよ奥さん!クビアたんが押し倒す方。
エロはあっさりめで食い足りなかったらすんません
無印の二人がこうなるまでに色々あると思うけど、とりあえずここが終着点みたいなそんなアレです、自分的に。
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