「ヘルムート、ここに一人で暮らしてる・・・・わけじゃないよね?」
「ああ。父と・・・・・トロイ様と一緒だ」
ふーん・・・と、含みのある溜息を洩らしつつ、少年は部屋を見渡した。
「・・・で、家事は誰がやってるの?」
「う・・・い、一応、私が・・・・」
ヘルムートとトロイとコルトン。一番どうにかマシなのがヘルムートという程度で、このメンバーでの家事スキルなど、たかが知れている。
部屋はとりあえず片付けられてはいるものの、どこか雑然とした印象が拭えず、繊細な飾りの施された窓枠にもうっすらと埃が積もっている。
「・・・決めた!」
嫁のお掃除チェックをする姑のごとくに部屋中を検分して回っていた少年が、突然声を上げた。
「僕、ここんちの小間使いになる!」
「はぁ!?ちょっと待てオマエ」
「なんたって元伯爵家の小間使いだよ、炊事も洗濯もぜ〜んぶお任せしちゃってよ!」
「っていうか旅の途中なんだろう!?」
「気にしない気にしない!カニが食べたくなったから無人島に帰ったとでも言っておけば納得してもらえるから」
「カニかよ!」
「お給金はいらないよ〜。ヘルムートに身体で払ってもらうから☆」

・・・メンバーの一人増えたユカイな隠遁生活が、始まるのか・・・どうか。







《END》 ...2007.07.28

 

 


っていうのも捨てがたい(だいなし)。


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