「・・・くすくす・・・」

       「・・クスクス・・・・・・・・・・・」





・・・声が聞こえる。
笑ってる。
喋ってる。

僕はただそれを聞いている。




  「・・・・ねえ、あのニンゲン・・・」



                     「うごかないよ」


      「シんでるのかな・・・・?」

          「このままじゃあきっと・・・・・」






僕は動かずにただそれを聞いている。
違うよ僕は死んでないよ。
だって君たちの声を聞いているもの。 







          「・・・・ねむってるの?」




「うごかないよ」





僕の耳を囁き声がくすぐる。
目を開けるのも、指一本動かすのも億劫で、でもそんな僕を咎める者は誰もいない。

目を・・・開けていないってことは、閉じているってことで。
でも辺りは一面の青。
鮮やかに煌めく薄いターコイズブルーはたぶん無人島あたりの海の色。




「・・・このままじゃ、シんじゃうよ・・・・?」





でも僕は今、仰向けに寝転がってるはずだから、これは空の色なのかもしれない。
それとも僕はもう海に沈んでいて、だから一面海の青色なのかな。







              「 ・・・おきないね・・・・・」


「このままじゃ、しずんじゃうよ・・・・・・」


                   『生も死も海は飲み込んで』



     「・・・このこがどちらをえらぶのか・・・・」







ああそうか。
どんなに深く沈んでも、どこまでも空の色を映しているから、だからこの海はこんなにも明るい。
どんなに深く沈んでも、僕が底まで沈んでしまったとしても、そこにも空の色は届くはずだから。

沈むことは怖くない。
死ぬことは怖くない。



僕は永遠に群島の海と空を見続ける。







                      「・・・おきて・・・・・・・・・」



        「・・・めをあけてみて・・・・?」






遠く近く、波のような囁きに、僕は重い瞼を起こそうかどうしようかぼんやりと考える。




         「・・・このこがどちらをえらぶのか・・・・」






僕の世界に満ちる海と空の青と、サカナたちの言葉。









《END》 ...2007.06.26

 

 

 

 

 


谷山浩子さんの「さかなの言葉」聴いてたら降りてきました。
EDです。グッドエンドかバッドエンドかは貴方次第。

 

 

 

 

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