「依存」




「ここにいて。」

と、唐突に少年は言う。

「あなたに、ここにいて欲しいんだ。」



他愛のない会話の合間に、不意に少年は言葉を切ってヘルムートにそう告げる。
・・・今まで交わした言葉の一体どれが少年の心の琴線に触れたのだろう。
自分はそんなに、今にも消えてしまいそうに見えるのだろうかと、身体を寄せてくる少年を受け止めながらヘルムートはなんとなく考える。




「ここにいるみんなが、僕を求めて集まってくる。軍主として、皆を勝利に導く者として。でも、あなたは違うから・・・・・。あなたは僕を求めてここに来たわけじゃないでしょう?だから、僕はあなたを求めることができるんだ・・・・」

そう言って少年はヘルムートを抱き締めてくる。
しかし、僅かの身長差のせいだけではなく、それはヘルムートには「抱きついてくる」と言った方がしっくりくるような気がする。
抱き締めて、キスをして、身体を重ねる・・・その全ての行為が何故か縋りつくようで。


抱かれているのは自分の方なのに、どうしてだろう。

















「・・・・ここにいて・・・・・。」

わかっている、と、抱きついてくる少年にうなずきながら、いつも飲み込む言葉。



・・・・お前も・・・・  な。






《END》 ...2005.03.28




 


ひとつのカップリングでずっと書いていると、最初はオトコマエだった攻めが何故か甘えっ子になってくる傾向があるようです。それに比例して受けさんの包容力がレベルアップしていきます。
それがシリアス方向に行くとこうなって、ラブコメ方向に行くと「ねこじゃらし」になります。
そんな主ヘル変容期。





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